摂動陽極x線チューブ
专利摘要:
X線の生成により生じる局所的な加熱を標的面のより大きな部分にわたって分散することが可能なX線チューブを提供する。電子を生成するためのフィラメントと、陰極と、チューブの封止式ハウジングに対して固定された点および封止式ハウジングに対して可動の端部を有する細長い部材を備えた陽極とを有する、X線チューブ。停止位置にある細長い部材の長軸は、加速した電子の軌道に対して横方向に変位されるため、部材の可動の端部上の球状の標的面は、チューブ内でX線が生成される空間的位置が封止式ハウジングに対して不変になるよう、衝突する電子に対して移動されてもよい。部材は通常、陽極がX線ビームの周りを摂動するように駆動される。1 公开号:JP2011505657A 申请号:JP2010535455 申请日:2008-11-28 公开日:2011-02-24 发明作者:クハールチク,ダミアン;レッフェン,ポール,ウィリアム 申请人:オックスフォード ディフラクション リミテッド; IPC主号:H01J35-12
专利说明:
[0001] 本発明は、X線チューブ(管)の分野に関し、特に、X線回折の分野で使用するためのX線チューブに関する。また、蛍光X線、X線撮影、断層X線撮影およびX線形態撮影を含む他の分析的用途のため、または高輝度X線の小点源もしくは線源の生成を含む他の用途のためのX線チューブに関していてもよい。] 背景技術 [0002] X線は、高電圧で加速された電子のビームを金属製の標的(ターゲット)に衝突させて、金属原子との衝突により急激に減速させたときに発生する。このようにしてX線を発生させる処理は非常に非効率で、電子ビームのエネルギーの大部分は熱として消散する。融解を避けるため、金属製の標的は冷却を必要とする。X線チューブは通常、電子を放出するフィラメントを有する陰極を備えている。電子は、陰極と金属製の標的または陽極との間に印加された高電圧により加速される。陽極および陰極は真空に包囲される。] [0003] X線回折および他の分析的用途で広く使用されるX線チューブの非常に一般的な実施形態は、真空包囲体へのフィードスルーを介した陽極の水冷却を有する通常はガラスまたはセラミックで形成された封止式真空容器内の固定陽極(据え付け陽極とも呼ぶ)を備えている。このような封止式X線チューブの典型的な例は、PanAlytical B.V.社製のXRD C-Techチューブである。これは、モリブデンの標的用の60kVの最大高電圧と(3,300ワットの最大電力に相当する)55mAの陽極電流とで作動する。このようなチューブは、0.4×12mmの線焦点を有しており、これは陽極を囲むベリリウム窓を通して見ると、X線源の線または点投影を生成することができる。] [0004] より最近の型の封止式X線チューブは、より低い電力で作動し(通常、約50ワット)、金属製の陽極に対して電子ビームの微小焦点(マイクロフォーカス)を生成する。このような微小焦点封止式X線チューブの典型的な例は、Oxford Instruments社製のApogeeチューブである。X-ray Technologies Groupは、1mAの陽極電流で、50kWで作動し、直径35〜50ミクロンの電子ビームの円形焦点(ラウンドフォーカス)を生成する。標準的な封止式X線チューブおよび微小焦点封止式X線チューブはともに、チューブの取り換えが必要になるまでに、約10,000時間の寿命を通常有しており、この時点でX線チューブ全体が消耗品として取り換えられる。固定陽極封止式X線チューブの利点は、単純で、信頼でき、小型で、コストが低いことにある。] [0005] X線回折および他の分析的用途で同様に広く使用される別の種類の非常に一般的なX線チューブは、真空包囲体内に回転陽極を備えている。電子ビームにより発生する熱負荷を広い領域に渡って分散し、冷却を促進し、単位焦点面積あたりの熱負荷がはるかに高い用途を可能にするために、この陽極は回転される。その結果、回転陽極X線チューブは、封止式X線チューブよりも数倍大きな強度のX線を生成するという利点を有している。現在の回転陽極X線チューブは、封止式チューブと同様の仕方で微小焦点電子ビームを利用していてもよく、その場合、低電力にすることができる。微小焦点回転陽極X線チューブの一例は、リガク社のMicroMax007HF生成機である。これは通常、直径70ミクロンの焦点で、1,200ワットで作動する。] [0006] 高真空内で回転陽極を作動し、陽極を冷却するには、固定陽極を有する封止式X線チューブよりもかなり複雑な機械的解決手段がどうしても必要であり、通常、面倒な保全作業が頻繁に必要になる。例えば、回転陽極X線チューブは通常、定期的な保全作業が必要なベアリングおよびシールを有する動的なフィードスルーを必要とする。ゆえに、回転陽極により可能になる、より強度の高いX線の利点は、コスト、複雑さおよび時間の制約が増すという欠点に照らして判断しなければならない。回転陽極X線チューブの分野を扱った先行技術はかなりの数に上る。封止式X線チューブおよび回転陽極X線チューブのX線解析の分野への適用については、下記非特許文献1に記載されている。] [0007] 上記X線チューブおよび陽極のタイプの多くの変形例が、性能を向上させる試みの中で、何年にもわたって開発されてきた。例えば、下記特許文献1には、略円筒状の表面を有する回転陽極を使用したX線放射装置が記載されている。回転陽極の円筒状の周縁部は、X線を発生させるために電子のビームにさらされ、基準位置に対する陽極の焦点の位置は、動的に制御される。] [0008] 下記特許文献2には、非可動式に取り付けられたギアと同軸の共通の中心を有する隣接するセクターの円周部に配置された複数の陽極を有する多陽極X線チューブが記載されている。このギアは、陽極の1つを選択して陰極からの電子の流れに整列させ、それにより、選択された陽極の材料に応じて、発生したX線のスペクトルを選択できるようにするためのウォームネジと噛み合っている。] [0009] 局所的加熱を改善するという特別な問題への他の取り組みが提案されてきた。例えば、下記特許文献3には、旋回陽極X線チューブの一態様が記載されている。この陽極は、球状の標的面を有する大きなカップ状の本体部分の形態であり、蛇腹アセンブリを介してチューブの本体に取り付けられており、蛇腹(ベローズ)アセンブリは、2つの軸において同時に陽極を揺動するように駆動される。チューブの本体とともに、陽極のカップ状の本体部分は、排気時に内部真空被覆体を区画する封止表面を形成する。しかし、カップ状の本体部分の寸法が大きいこと、および接続用蛇腹の使用により、標的面の正確な制御が困難になる場合がある。さらに、本体を高真空まで排気することで、蛇腹の収縮が引き起こされることがあり、柔軟性が著しく制限される場合がある。] [0010] 下記特許文献4には、電子ビーム源に対向する平坦な標的面を有し、摺動面に対して横方向に往復して摺動するように取り付けられた剛性を有する支持体により支持された封止式X線チューブが記載されている。蛇腹は、チューブの被覆体と共に閉じられた面を形成するように、標的に対して封止されている。標的の軸は、チューブの軸に垂直な方向に、横方向に往復するが、標的がそれ自身の軸を中心に回転することはない。] [0011] 下記特許文献5には、球状の標的面が配置された機械的に操作されるアームの形態の陽極を使用したX線チューブが記載されている。この陽極は、少なくとも2つの自由度を有するヒンジに取り付けられており、標的面は環状または円形の行路を取ることができる。その中心の停止位置において、アームは、チューブの中心軸に沿って、集束する電子ビームの行路に整列されている。この軸を中心とするアームの動きは、特定の軌道に従ったX線ビームに対する標的面の運動を引き起こし、熱の放散に寄与する。下記特許文献6には、類似の構成が記載されている。] [0012] 英国特許出願公開第2381432号明細書 米国特許第3753020号明細書 米国特許第6154521号明細書 米国特許第3794872号明細書 仏国特許出願公開第2803432号明細書 独国特許第3638378号明細書] 先行技術 [0013] “Fundamentals of Crystallography”; C. Giacovazzo、H.L. Monaco、D. Viterbo、 F. Scordari、G. Gilli、G. Zanotti、M. Catti; C. Giacovazzo編、Oxford University Press、1992] 発明が解決しようとする課題 [0014] しかし、上述の装置は性能の向上に寄与するものの、高強度X線を効率よく発生させるために良好に規定された焦点領域を正確に維持することは困難な場合があり、移動する陽極が出口窓へのX線行路をさえぎる可能性がある。そのため、固定電極チューブに類似した、小型で費用効率のよいX線チューブが現在必要とされていることが、当業者には明らかであろう。このX線チューブは、より大型の保全に優れた回転陽極チューブにおいて利用可能なものに迫る強度のX線を生成できるようにするために、熱放散が効率的にされているものである。] 課題を解決するための手段 [0015] 本発明の第1の局面によれば、X線チューブは、排気されたときに内部真空包囲体を区画する封止式ハウジングを備え、電子を生成するためのフィラメントと、陰極と、陰極から空間的に分離された陽極とを、ハウジング内に、さらに備え、陽極および陰極は、フィラメントからの電子を加速させ、陽極の標的面に衝突させてX線を生成するために、陽極と陰極との間に電位差を生じるように構成されており、陽極は、第1の端部および第2の端部を有する細長い部材を備え、陽極は、停止位置における細長い部材の長軸が、加速された電子の軌道に対して横方向に変位され、第1の端部から第2の端部までの細長い部材の長さにおける一点が、封止式ハウジングに対して実質的に固定されており、当該陽極の標的面が、球状であるとともに、細長い部材の第2の端部上に配置され、細長い部材の第2の端部は、封止式ハウジングに対して可動であり、球状の標的面が、当該チューブ内のX線生成の空間的位置が封止式ハウジングに対して不変になり、それによって標的面の、より大きな部分にわたりX線生成によって生じる局所的加熱が分散されるように、衝突する電子に対して移動できるように構成されている。] [0016] このように、本発明は、X線が生成される領域での陽極の局所的な加熱という問題に対して、異なる解決手段を提供する。陽極の移動する標的面は熱負荷を分散するが、チューブ内のX線生成の絶対的な空間的位置は、X線出口窓を含め、ハウジングに対して不変のままであり、それゆえに、電子ビームを生成および成形する構成要素に対しても不変のままである。そのため、X線を生成するための電子ビームの所望の焦点領域を出口窓に対して正確に整列させることは、標的面の運動によっては妨げられない。] [0017] 停止位置にある細長い部材の長軸は、加速した電子の軌道に対して横方向に変位されており、それゆえ、この軌道と大略的に同軸である。オフセットされた停止位置により、部材の駆動が促進されて、標的面についての所望の軌跡が実現される。オフセットされた部材上で球状の標的面を使用することにより、X線生成の場所での絶対的な空間的不変量の維持が促進される。さらに、生成されたX線がX線出口部材を介してチューブを出ることができるように標的面を傾斜させるという要求が、湾曲した球状面により自動的に実現される。くわえて、オフセットされた球状の標的面を使用することにより、出口窓へのX線軌道をさえぎらないことが保証される。] [0018] 細長い部材の前記長軸は、球状の標的面の半径に沿っており、半径は、陽極面から細長い部材の長手方向上の実質的に固定された点までの距離に等しいのが好ましい。 陽極は、さまざまな仕方で駆動されるよう構成されていてもよい。第2の端部の標的面が、衝突する電子に対し振動軌道に沿って移動するように、陽極が駆動される構成とされているのが好ましい。第2の端部の標的面が、衝突する電子に対し楕円の振動軌道に沿って移動するように、陽極が駆動される構成とされているのがさらに好ましい。陽極は、第2の端部の標的面が、衝突する電子に対し旋回軌道に沿って移動するように構成されていてもよい。熱負荷を分散するために、標的面が、所定の仕方で変動する暴露時間のあいだ、衝突する電子にさらされるように、陽極が駆動される構成とされているのが好ましい。] [0019] 電子ビームが標的面で線焦点を形成する場合、集束されたX線ビームのアスペクト比と反対の楕円率を有する楕円振動軌道に沿って、標的面が移動するのが好ましい。楕円率は一般に、電子ビームアスペクト比の逆数であって、それゆえに、集束されたX線ビームの非点形特性を考慮に入れた仕方で熱負荷を分散させることが好ましい。例えば、10:1のアスペクト比を有する標準的なX線ビームの場合、約1:8の楕円率が適切であろう。この主要な楕円振動運動は、より高速の楕円運動の短軸に実質的に平行な軸に沿った別の、より低速の振動運動に重ね合わされているのがさらに好ましい。より低速の振動運動は、線軌道に単純に従っていてもよく、または、より高速の楕円運動の逆数となる楕円率を有する楕円軌道に従っていてもよい。] [0020] 陽極は、X線生成用の標的面を提供するために、さまざまな仕方で構成されていてもよい。陽極は、細長い部材の第2の端部にわたって配置されたキャップであって、標的面を提供するために銅(Cu)、モリブデン(Mb)または他の標的材料で被覆されたキャップを備えているのが好ましい。 陽極の駆動運動を制御するために、X線チューブは、細長い部材の運動の共振防止減衰のための手段をさらに備えているのが好ましい。] [0021] 細長い陽極部材は、さまざまな形状を有していてもよい。1つの実施形態では、細長い陽極部材は、ハウジングに対して第1の端部に固定され屈曲動作により第2の端部においてハウジングに対し可動であるフレキシブルモノリスロッドを備えている。ロッドは、ハウジングの気密の開口を通過しており、熱を標的面からハウジングの外部へと逃がすために熱伝導材料で形成されているのが好ましい。] [0022] 別の実施形態では、細長い陽極部材は、ハウジングに対して実質的に固定された屈曲点を中心に回動するための継ぎ手を第1の端部に有する剛性部材(剛性を有する部材)であって、回動動作により第2の端部においてハウジングに対し可動とされた剛性部材を備えている。継ぎ手は、屈曲点を中心とした剛性部材の自在(ユニバーサル)揺動を可能にする玉軸受け(ボール、ソケット)タイプの継ぎ手を備えているのが好ましい。X線チューブは、実質的に固定された相対位置で第1の端部を保持するための弾性手段をさらに備えているのが好ましい。好ましい実施態様では、弾性保持手段はらせんバネを備えている。] [0023] 移動する標的面により、過度の局所的加熱を避け、X線生成中の熱負荷を標的面にわたって分散させることが保証されるが、表面を冷却し、そこで生成された熱を逃がすための手段を提供することも、依然として望ましい。ゆえに、剛性を有する細長い陽極部材が、標的面から熱を逃がすために、標的面の近傍へのおよび標的面の近傍からの流体冷却剤の流動のための内部通路を備えているのが好ましい。好ましい実施態様では、内部通路は、標的面の近傍へのおよび標的面の近傍からの液体冷却剤の流動のための同軸構造を備えている。内部通路は、均一に冷却するために冷却剤を分散するための、標的面の近傍の分散構造を備えているのが好ましい。] [0024] X線チューブは、剛性部材へとおよび剛性部材から冷却剤を移送するために剛性を有する細長い部材の内部通路およびハウジングの外部に連結されたフレキシブルチュービングをさらに備えているのが好ましい。チュービングは、第1の端部において剛性部材の周りの2重らせんとして構成されているのが好ましい。剛性部材の中または周りを流動する流体冷却剤は、細長い部材の運動を減衰することにより、共振防止減衰手段として作動してもよい。あるいは、またはくわえて、陽極は、衝突する電子に対して標的面を移動するために、液体冷却剤の経路により駆動される構成とされていてもよい。] [0025] 本X線チューブの細長い陽極部材は、機械的、電気機械的および電磁気的な駆動機構を含む適切な手段により駆動されてもよい。 電磁気的な駆動機構に関し、X線チューブは、ハウジング内に、細長い部材の第2の端部を移動するため電磁駆動力を第2の端部に伝達するための手段をさらに備えているのが好ましい。1つの実施態様では、力伝達手段は、第2の端部の近傍で細長い部材の一部の周りに周方向に配置された磁気材料の中実のリングを備えている。別の実施態様では、力伝達手段は、細長い部材が第2の端部の近傍を通る中央開口部を有する磁気材料のディスクであって、ハウジングの環状スロット内に保持される周縁領域を有するディスクを備えている。] [0026] 本発明の第2の局面によれば、X線チューブアセンブリは、第1の局面に係るX線チューブと、ハウジングの外部に配置され、衝突する電子に対して標的面が移動するように陽極を駆動するための手段とを備えている。駆動手段をX線チューブと別体にすることで、不具合またはチューブの損耗が起きたときに、後者をアセンブリ内で容易に取り外して交換することができる。このように、本発明のX線チューブは、固定陽極を使用した従来の封止式X線チューブに関連した保全および交換の容易さを維持している。] [0027] このような電磁気的な駆動機構に関し、X線チューブアセンブリは、力伝達手段により第2の端部に伝達されることになる電磁気的な駆動力を生成するために、X線チューブハウジングの外部に配置されたX線電磁石構成を備えているのが好ましい。1つの実施態様では、電磁石構成は、力伝達手段に隣接して配置された多極コアを有する1つ以上の電磁石コイルを備えている。別の実施態様では、電磁石構成は、力伝達手段に隣接するハウジングの外部の周りに周方向に配置された2つ以上の別個の電磁石を備えている。] [0028] あるいは、X線チューブアセンブリは、X線チューブハウジングの外部に配置され、衝突する電子に対して標的面を移動させるように陽極を駆動するための、機械式のアクチュエータ(駆動装置)を備えている。 当業者は理解するであろうが、本発明は、多くの既存のX線チューブの最良の特徴を組み合わせた、新規の小型で費用効率のよいX線チューブを提供する。この新規のX線チューブは、固定陽極を有する従来の封止式X線チューブの利点を保持しているが、回転陽極X線チューブが発生させるものに比肩する、かなり高強度のX線を発生させる。本発明は、従来の封止式X線チューブの寸法に類似した封止式真空包囲体を使用しており、これは、チューブが消耗したときにまるごと交換することが容易にできるため、回転陽極に関連する複雑な保全作業が除去される。本発明はまた、回転陽極手段に比べて製造コストがかなり低いため、経済的な利点を有している。] 図面の簡単な説明 [0029] 本発明に係るX線チューブアセンブリを示す。 図1の電子銃および陽極構成の拡大図である。 磁気振動ディスクを介して電磁気的に駆動される陽極の摂動を示す。 磁気振動ディスクを介して電磁気的に駆動される陽極の摂動を示す。 モノリスフレキシブルロッド陽極部材を有する本発明の実施形態を示す。 磁気振動ディスクおよび反共振減衰リングを有する電磁気駆動機構の例を示す。 楕円率が1:8の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:8の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:8の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が10:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が3:1の電子ビーム用の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が3:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。 楕円率が1:3の楕円上を移動する、アスペクト比が3:1の電子ビーム用の別の標的面軌跡を示す。] 実施例 [0030] 本発明は、現在の封止式X線チューブに取って代わり、低コストで保全作業の少ない回転陽極X線チューブの、代替物を提供することを意図している。チューブを一定にしてX線が発生する空間的位置を維持する仕方で陽極のオフセットされた球状の標的面を動かして駆動されるよう構成されていれば、細長い陽極部材は、さまざまな態様で実施されてもよい。同様に、用途に幅のある高性能の実機を提供するために、さまざまなふさわしい駆動機構、減衰機構および冷却機構を、中核をなす発明と組み合わせてもよい。] [0031] 本発明の例を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。 図1は、本発明に係るX線チューブの全体図であり、主要な構成要素を示している。X線チューブは、電子ビーム発生器1および陽極駆動機構2の2つの主要なモジュールを備えている。これらの2つのモジュールは、互いに組み合わされて、封止式真空包囲体を形成している。] [0032] 電子ビーム発生器1は、耐高電圧セラミック3および/またはガラスなどの周知の高電圧材料を使用して形成されており、真空フィードスルーなどの周知の高電圧技術およびサーメットおよび/または金属ガラス結合部4を使用してもいる。電子ビーム発生器モジュール1の主な機能は2つある。これは、一方で、電子ビーム5を発生させるのに使用され、他方で、高電圧放電からシステムを隔離するのに使用される。包囲体の形状は、このような放電を最小化する上で重要である。電子ビーム5は、電子銃により生成される。電子銃は、全体がタングステンで形成されフィラメント電極7に取り付けられるフィラメントコイル6を備えており、フィラメント6は、低電圧かつ高電流で作動されたときに電子を放出する。電子は、HVおよびVF陰極構成により集束されて、電圧が印加されたときに陽極キャップ8へと引き寄せられる。] [0033] フィラメントコイル6から放出された電子は、ウェーネルシリンダ9として知られる電極により生成された静電界により、形状を整えられる。ウェーネルシリンダ9は、図2により詳細に示すように、20〜30ミクロン×200〜300ミクロンの矩形横断面10の電子のビームを生成する。電子ビームの矩形横断面のアスペクト比は通常、業界標準の10:1である。ウェーネルシリンダ9から出現した電子ビームは分岐され、その結果、再集束静電界が集束スリット11により印加される。集束スリット11は、独立した高電圧を印加するために、別体の電気的フィードスルーを有している。ビームからの迷走電子は、陽極8に衝突して陽極を汚染する可能性のある不要なX線もしくはイオンを形成することのないように、または、陰極7を汚染する可能性のあるイオンをスパッタすることのないように、スパッタリング防止リング12により遮断される。] [0034] 電子ビーム5により生成され、陽極キャップ8の表面8aに衝突したX線13の一部は、軌道を塞がれることなく、ベリリウム窓14を通ってX線チューブを出る。陽極キャップ8の表面8aは球形であり、球状の標的面の半径は、陽極表面から、陽極キャップを支持する細長い部材17の回動点16までの距離と同等である。例えば、標的面の曲率半径は、約100mmまたは100mm以上であってもよい。陽極キャップは通常、その優れた熱伝導性ゆえに銅で形成されており、電子ビームに対向する陽極の表面上に堆積された所与の金属の薄い皮膜を有している。金属皮膜の種類は、必要に応じて、特徴的な波長スペクトルを有するX線を放出するよう選択される。好ましい実施形態では、陽極上の電子ビーム焦点15にあるX線ビームの矩形の線源は、ベリリウム窓14を通って投影されるときに、矩形のアスペクト比を有することになる。] [0035] 図3Bに示す軸上の構成と比較して、図3Aに示すように、電子ビーム5が、停止位置にある細長い部材16の軸からベリリウム窓14に向かって中心から外れた陽極8の表面に衝突することが、本発明の主要な局面である。その結果、電子ビームは、陽極の表面8aに垂直ではなく、焦点15において、陽極の標的面がベリリウム窓に向かって効率よく傾斜している。そのため、陽極表面8aの曲率は、X線がベリリウム窓14から出るのを遮断しない。固定陽極封止式X線チューブにおいて、陽極は平坦であって、ベリリウム窓に向かって傾斜していることに注意されたい。陽極表面8aの球面曲率についての条件によれば、本発明のX線チューブを製造する際の重要な実施要綱は、陽極表面の形状誤差を最小化することである。さもないと、これらは、X線ビームの投影を歪めることになるからである。形状誤差を最小化するために、陽極表面を徹底して研磨する必要のあることが予測される。] [0036] 陽極駆動機構2モジュールは陽極を有しており、この陽極は、一端に取り付けられた陽極キャップ8を有しX線生成用の標的面を含む細長い部材17を備えている。陽極は、陽極の標的面8aが固定の回動点を中心に摂動することができるように構成されている。回動点は、細長い部材の長軸に沿ったいずれの点に設けられていてもよい。好ましい実施形態では、細長い部材は、玉継ぎ手支持部材16を中心に摂動することができる中空の円筒とされている。しかし、他の変形例は、図4に示すように、X線チューブのハウジングに固定的かつ一体的に取り付けられた細長い部材を含んでいてもよく、細長い部材材料の弾性屈曲により、陽極の摂動が可能とされている。好ましい実施形態では、陽極キャップ8は、細長い部材をX線チューブハウジングに接続する導電バネ21を介して、電気的に接地されている。常時の電気接触を確保することにくわえて、バネ21はまた、細長い部材の半球形の基部を玉継ぎ手内の所定の位置に固定する。] [0037] 本発明のすべての実施形態において、衝突する電子ビームにより陽極材料内に蓄積された熱を逃がすため、稼動中に陽極を冷却することが望ましい。好ましい実施形態では、この冷却は、陽極の下側に冷却剤流体(通常は水)を通すことにより実現される。冷却剤は、乱流スリット18の使用により、乱流として供給されるのが好ましい。好ましい実施形態では、冷却剤流体は、戻り流がパイプの外部にあっても依然として細長い部材内にあるように細長い部材17に同軸に固定されたパイプの内部において、陽極の下側に移動される。好ましい実施形態では、冷却剤流体は、容器の壁の中の固定フィードスルー19aおよび19bを通ってX線チューブに出入りし、フィードスルー19aおよび19bを細長い部材17と接続している冷却剤パイプが、細長い部材の基部の周りにコイル20を作るように形成され、それにより、過度の減衰なしに摂動するよう、細長い部材にいくらかの柔軟性を与えている。] [0038] 図4に示す別の実施形態では、細長い部材17内の冷却パイプ21は、X線チューブハウジングに対して固定されており、それゆえに、摂動することが可能とされたときに細長い部材に対して移動する。電子ビーム位置に対して固定であり、かつ、それゆえに冷却という観点でより効果的な位置で、冷却水が冷却パイプ17を出るという利点を、この実施形態は有している。しかし、図4に示す実施形態では、冷却剤流体それ自体が、細長い部材の摂動を減衰または増幅することが可能である。事実、図4に示す実施形態では、冷却剤流体の流れを使用して細長い部材を摂動するように駆動することさえ可能であるが、このような駆動機構は予測不能な場合がある。] [0039] 本発明は、陽極が電子ビームに対して制御された仕方で摂動されるよう細長い部材を駆動するための機構を含んでいる。異なる実施形態において、X線チューブの外部から細長い部材を機械的に作動させることを含め、さまざまな駆動機構を考えることができる。一般に、駆動機構の少なくとも一部を、X線チューブのハウジングに対して外部に配置し、そこから取り外し可能にしてもよい。このように、X線チューブアセンブリ全体は、外部の駆動機構と、可動式の陽極を含む取り換え可能なX線チューブとを備えている。] [0040] 好ましい実施形態では、駆動機構は、電磁気コイル22により印加される電磁気であり、各電磁気コイル22は、X線チューブの外部に配置されX線チューブの本体から取り外すことのできる電磁コア23を有している。好ましい実施形態では、電磁気コイル22は、引力または斥力により、陽極に固定的に取り付けられた磁気ディスク24を起動し、X線チューブに対してディスクを傾斜させ、それにより、細長い部材の角変位をその回動点を中心として駆動する。このような起動により通常、磁気ディスク24が1mmのオーダーで変位される。好ましい実施形態では、8つのこのような電磁気ポールが、磁気ディスク24の周りに8角形に配置され、順次起動されて磁気ディスクの摂動動作、そしてその結果として陽極8の摂動動作を駆動してもよい。] [0041] 別の実施形態では、2つの電磁気ポールが同時に起動されて、ディスク24の両側で引力および斥力を使用して、双極起動を実現してもよい。これによって、電磁場の方向を逆にすることにより、磁気ディスクの振動を減衰させることが可能になる。別の実施形態では、ディスクを磁気浮上させるために、永久磁石をディスクの周りに、極を交互にしてセグメント内に配置してもよい。1つの実施形態では、図5に示すように、共振防止減衰リング25が細長い部材を取り囲んで、共振振動を減衰するように配置されている。このような減衰は駆動機構を介して実現することができるが、共振防止減衰リング25は、これを実現するために駆動機構が必要とする電力を最小化する。] [0042] 次に、表面の加熱を分散して局所化するという観点で高い性能を示す、陽極の実際の摂動運動と軌跡例とを、やや詳しく考察する。通常のアスペクト比(10:1)の電子ビームを標的面に集束させた場合、運動の好ましい軌跡は顕著に楕円形となる。焦点は通常は点状でないため、電子ビーム集束が標的面の特定の領域に衝突する長さを考えることがよりいっそう重要であることに注意されたい。なぜなら、これが実際の局所的な熱負荷を決定することになるからである。これは、標的面が減速され次いで加速される陽極振動運動における転換点に特に当てはまる。] [0043] 3つの例を考える。各例は、ビームアスペクト比と運動の基本的な楕円率との特定の組み合わせを有しており、これはビーム形状を補完するように大体において設計されている。各例では、基本の高速楕円運動と、2つの形態の他の低速変動運動に重ね合わされた高速楕円運動とを含む、3つの異なる振動の態様を分析する。各例では、局所的な加熱との関連を考慮する。] [0044] 第1の例では、10:1のアスペクト比(ビーム高さ=0.3mm、ビーム幅=0.03mm)を有し、1:8の楕円率(r1:r2。r1は楕円のx軸半径、およびr2は楕円のy軸半径)を有する大略的に楕円形の振動に従うビームについて考察する。作動の各態様について、基本的な楕円運動は、50Hzの周波数に相当するT=0.02s(秒)の比較的短い振動周期を有し、それぞれr1=0.1mmおよびr2=0.8mmの楕円半径を有している。] [0045] この例に関する第1の態様の作動では、単純な純粋の楕円運動が、デカルト座標上の運動の方程式を計算することにより分析される。楕円の中心に対する軌跡の経時変化する座標xおよびy(mm)は、下記のように、時間t(秒)の関数として計算される。] [0046] ] [0047] 線速度成分VxおよびVyは、下記のように与えられる。] [0048] ] [0049] 得られる速度は、下記のように与えられる。] [0050] ] [0051] 図6Aは、電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(1.1b)から、最大線速度は、vx=31.416mm/sおよびvy=251.327mm/sである。エネルギー集中は、楕円振動の単一の周期の割合として、標的面の所与の領域にわたってビームによって使われた時間として示してもよい。これにより、標的面のこの領域が電子ビームにさらされた長さ(時間)が測定される。値が高くなると、さらされた時間が長くなり、値が100%の場合、その区域が連続してビームにさらされていることを示している。振動の上記態様について、最小および最大のさらされる割合は、計算するとそれぞれ4.2%Tおよび7.2%Tとなる。このように、電子ビームにもっとも多くさらされる標的面の部分は、電子ビームにもっとも少なくさらされる標的面の部分に比べて、約71%大きい量だけさらされる。全体として、50Hzの高周波楕円振動は、固定陽極に比べて、熱負荷を14〜24係数だけ低下させる。] [0052] この例に関する第2の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、T2=500×T=10sの周期およびR=r2=0.8mmの強度を有するx軸に沿った非常に低速の横方向の線振動に重ね合わされている。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0053] ] [0054] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0055] ] [0056] 図6Bは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(1.2b)から、最大線速度は、高速楕円運動についてここでも計算するとvx=31.416mm/sおよびvy=251.327mm/sとなり、低速線運動についてvx=0.503mm/sとなる。高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ4.2%Tおよび7.2%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.6%T2および0.96%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.1%T2および0.3%T2となる。] [0057] 最後に、この例に関する第3の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、別の楕円形状に関する超低速運動に重ね合わされている。低速楕円運動の周期はT2=500×T=10sであり、x軸およびy軸楕円半径は、それぞれR1=r2=0.8mmおよびR2=4×r1=0.4mmであり、低速楕円運動に関する楕円率R1:R2は2:1となる。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0058] ] [0059] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0060] ] [0061] 図6Cは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(1.3b)から、最大線速度は、高速楕円運動に関してここでも計算するとvx=31.416mm/sおよびvy=251.327mm/sであり、低速線運動に関してvx=0.503mm/sおよびvy=0.251mm/sである。 高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ4.2%Tおよび7.2%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.47%T2および0.75%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.06%T2および0.23%T2となる。] [0062] 上述した第2および第3の態様の振動では、基本の楕円軌跡はいずれも、横方向にまたは別個の楕円上で低速で振動し、第2の振動の周波数は、第1よりもはるかに長くなっている。これは、熱負荷をさらに標的区域にわたって低速で分散させる機能を有している。上述したように、この例では、50Hzの高周波楕円第1態様の振動は、固定陽極に比べて、熱負荷を14〜24係数だけ低下させ、エネルギー密度を効率よく上昇させることができる。しかし、加熱は依然として、標的面の比較的小さな区域にわたって広がっている。第2および第3の態様の振動では、0.1Hzの重ね合わされた低速の振動が、累積される線量を広い区域にわたって分散する効果を有しており、これは、エネルギー密度を上昇させることはできないが、陽極面への損傷を分散することにより、陽極の寿命を延長する。] [0063] 次に、第2の例に移る。ここでは、同じ10:1のアスペクト比(ビーム高さ=0.3mm、ビーム幅=0.03mm)を有するが、1:3の楕円率(r1:r2。r1は楕円のx軸半径、およびr2は楕円のy軸半径)を有する大略的に楕円形の振動に従うビームについて考察する。作動の各態様について、基本的な楕円運動はここでも、50Hzの周波数に相当するT=0.02sの振動周期を有しているが、r1=0.22mmおよびr2=0.66mmの楕円半径を有している。] [0064] 第1の態様の作動では、単純で純粋な楕円運動が、デカルト座標における運動の方程式を計算することにより分析される。運動の軌跡の座標x(mm)およびy(mm)は、下記のように与えられ(式中、tは時間(秒)を表す)、] [0065] ] [0066] 線速度成分vxおよびvyは、下記のように与えられ、] [0067] ] [0068] 得られる速度は、下記のように与えられる。] [0069] ] [0070] 図7Aは、電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(2.1b)から、最大線速度は、vx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sである。振動のこの態様についてのエネルギー集中は、最小および最大のさらされる割合に関し、計算するとそれぞれ1.93%Tおよび7.5%Tとなる。 この例に関する第2の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、T2=500×T=10sの周期およびR=r2=0.66mmの強度を有するx軸に沿った非常に低速の横方向の線振動に重ね合わされている。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0071] ] [0072] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0073] ] [0074] 図7Bは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(2.2b)から、最大線速度は、高速楕円運動についてここでも計算するとvx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sとなり、低速線運動についてvx=0.415mm/sとなる。高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ1.93%Tおよび7.5%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.22%T2および0.83%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.12%T2および0.42%T2となる。] [0075] 最後に、この例に関する第3の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、別の楕円形状に関する超低速運動に重ね合わされている。低速楕円運動の周期はT2=500×T=10sであり、x軸およびy軸楕円半径は、それぞれR1=r2=0.66mmおよびR2=r1=0.22mmであり、低速運動楕円に関する楕円率R1:R2は3:1となる。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0076] ] [0077] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0078] ] [0079] 図7Cは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(2.3b)から、最大線速度は、高速楕円運動に関してここでも計算するとvx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sであり、低速線運動に関してvx=0.415mm/sおよびvy=0.138mm/sである。 高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ1.93%Tおよび7.5%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.2%T2および0.73%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.11%T2および0.31%T2となる。] [0080] 上記分析の結果を第1の例の結果と比べると、1:3という、より小さい楕円率では、集束された電子ビームに対する最大および最小標的面暴露の間の変動が大きくなり、(所与のビーム形状に関して)エネルギーの分散がより不均一になる傾向があることが分かる。 次に、第3の、かつ最後の例に移る。ここでは、より小さい3:1のアスペクト比(ビーム高さ=0.165mm、ビーム幅=0.055mm)を有し、1:3の楕円率(r1:r2。r1は楕円のx軸半径、およびr2は楕円のy軸半径)を有する大略的に楕円形の振動に従うビームについて考察する。作動の各態様について、基本的な楕円運動はここでも、50Hzの周波数に相当するT=0.02sの振動周期を有しており、r1=0.22mmおよびr2=0.66mmの楕円半径を有している。] [0081] この例の第1の態様の作動では、単純で純粋な楕円運動が分析されて、デカルト座標における運動の方程式を計算している。運動の軌跡の座標x(mm)およびy(mm)は、下記のように与えられ(式中、tは時間(秒)を表す)、] [0082] ] [0083] 線速度成分vxおよびvyは、下記のように与えられ、] [0084] ] [0085] 得られる速度は、下記のように与えられる。] [0086] ] [0087] 図8Aは、電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(3.1b)から、最大線速度は、vx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sである。振動のこの態様についてのエネルギー集中は、最大および最小のさらされる割合に関し、計算するとそれぞれ4.0%Tおよび5.5%Tとなる。 この例に関する第2の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、T2=500×T=10sの周期およびR=r2=0.66mmの強度を有するx軸に沿った非常に低速の横方向の線振動に重ね合わされている。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0088] ] [0089] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0090] ] [0091] 図8Bは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(3.2b)から、最大線速度は、高速楕円運動についてここでも計算するとvx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sとなり、低速線運動についてvx=0.415mm/sとなる。高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ4.0%Tおよび5.5%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.26%T2および1.28%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.21%T2および0.61%T2となる。] [0092] 最後に、この最後の例に関する第3の態様の作動では、第1の態様の純粋な楕円運動が、別の楕円形状に関する超低速運動に重ね合わされている。低速楕円運動の周期はT2=500×T=10sであり、x軸およびy軸楕円半径は、それぞれR1=r2=0.66mmおよびR2=r1=0.22mmであり、低速運動楕円に関する楕円率R1:R2は3:1となる。この態様では、運動の軌跡のデカルト座標は、下記のように与えられ、] [0093] ] [0094] かつ、線速度成分は下記のように与えられる。] [0095] ] [0096] 図8Cは、この態様についての電子ビームと標的面との間の相対運動の軌跡を示している。式(3.3b)から、最大線速度は、高速楕円運動に関してここでも計算するとvx=69.115mm/sおよびvy=207.345mm/sであり、低速線運動に関してvx=0.415mm/sおよびvy=0.138mm/sである。 高速運動サイクルに関する最小および最大のさらされる割合はここでも、計算するとそれぞれ4.0%Tおよび5.5%Tとなる。しかし、完全な運動サイクルに関し、最悪の場合(すなわち、両極の位置の一方において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.24%T2および0.94%T2となるが、最良の場合(すなわち、両極の位置の中央において)、最小および最大のさらされる割合は、それぞれ0.11%T2および0.42%T2となる。] [0097] 第3の例についての上記分析の結果を第1の例の結果と比べると、3:1という、より小さいビームアスペクト比で、かつ1:3という楕円運動楕円率では、基本の高速楕円にわたるエネルギーの分散がより均一になり、最大と最小との間の差がちょうど37%となることが分かる。電子ビームの「線」焦点が正方形焦点に近づくと、ビームの軌跡中で重なり合うことを避けるのはより容易になるため、これは驚くにはあたらない。このように、より低いアスペクト比が望ましい。] [0098] しかし、1:10のアスペクト比を有する電子ビーム線焦点は、ほぼ標準的に従来のビーム成形技術を使用しているため、このようなビームでの作動用に最適化する必要がある。この点で、第2または第3の態様の作動での第1の例(すなわち、熱負荷をさらに分散させるために、1:8の楕円率を有する基本の高速楕円が、別の、より低速で移動する形状と重ね合わされているもの)が好ましい。] [0099] 理解されるであろうが、多くの他の軌道が利用できる。これらは、電子ビーム焦点形状と、ビームが投射される陽極標的面の球形形状とに従って最適化されていてもよい。]
权利要求:
請求項1 排気されたときに内部真空包囲体を区画する封止式ハウジングを備えたX線チューブであって、前記ハウジングは、生成されたX線が出る窓を含み、当該X線チューブは前記ハウジング内に、電子を生成するためのフィラメントと、陰極と、前記陰極から空間的に分離された陽極とをさらに備え、前記陽極および前記陰極は、前記フィラメントからの電子を加速させ、前記陽極の標的面に衝突させてX線を生成するために、前記陽極と前記陰極との間に電位差を生じるように構成されており、前記陽極は、第1の端部および第2の端部を有する細長い部材を備え、前記陽極は、停止位置における前記細長い部材の長軸が、前記加速された電子の軌道に対して横方向に変位され、前記第1の端部から前記第2の端部までの前記細長い部材の長手方向における一点が、前記封止式ハウジングに対して実質的に固定されており、前記陽極の前記標的面が、球状であるとともに、前記細長い部材の前記第2の端部上に配置され、前記停止位置において、前記電子が、前記ハウジングの前記窓に対して傾斜した前記球状の標的面の一部に衝突し、前記細長い部材の前記第2の端部が、前記封止式ハウジングに対して可動であり、前記球状の標的面が、当該チューブ内のX線生成の空間的位置が前記封止式ハウジングに対して不変になり、それによって前記標的面の、より大きな部分にわたり、前記X線生成によって生じる局所的加熱が分散されるように、前記衝突する電子に対して移動できるように構成されている、X線チューブ。 請求項2 前記細長い部材の前記長軸は、前記球状の標的面の半径に沿っており、前記半径は、前記陽極面から前記細長い部材の長手方向における実質的に固定された点までの距離に等しい、請求項1に記載のX線チューブ。 請求項3 前記第2の端部の前記標的面が前記衝突する電子に対し振動軌道に沿って移動するように、前記陽極が駆動される構成とされている、請求項1または2に記載のX線チューブ。 請求項4 前記第2の端部の前記標的面が前記衝突する電子に対し楕円の振動軌道に沿って移動するように、前記陽極が駆動される構成とされている、請求項3に記載のX線チューブ。 請求項5 前記標的面が、所定の仕方で変動する暴露時間のあいだ、前記衝突する電子にさらされるように、前記陽極が駆動される構成とされている、請求項1または2に記載のX線チューブ。 請求項6 前記細長い部材の運動の共振防止減衰のための手段をさらに備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項7 前記陽極の前記細長い部材が、前記ハウジングに対して前記第1の端部に固定されたフレキシブルモノリスロッドであって、屈曲動作により前記第2の端部において前記ハウジングに対し可動であるフレキシブルモノリスロッドを備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項8 前記ロッドは、前記ハウジングの気密の開口を通過しているとともに、熱を前記標的面から前記ハウジングの外部へと逃がすために熱伝導材料で形成されている、請求項7に記載のX線チューブ。 請求項9 前記細長い陽極部材は、剛性を有しているとともに、前記標的面から熱を逃がすために、前記標的面の近傍へのおよび前記標的面の近傍からの液体冷却剤の流動のための内部通路を備えており、前記内部通路は、均一に冷却するために前記冷却剤を分散するための、前記標的面の近傍の分散構造を備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項10 前記剛性を有する部材へとおよび前記剛性を有する部材から前記冷却剤を移送するために、前記剛性を有する部材の前記内部通路と、前記ハウジングの外部とに連結されたフレキシブルチュービングをさらに備え、前記チュービングは、前記第1の端部において前記剛性を有する部材の周りの2重らせんとして構成されている、請求項9に記載のX線チューブ。 請求項11 前記細長い陽極部材は、剛性を有しているとともに、前記標的面から熱を逃がすために、前記標的面の近傍へのおよび前記標的面の近傍からの液体冷却剤の流動のための内部通路を備えており、当該X線チューブは、前記剛性を有する部材へとおよび前記剛性を有する部材から前記冷却剤を移送するために、前記剛性を有する部材の前記内部通路と、前記ハウジングの外部とに連結されたフレキシブルチュービングをさらに備え、前記チュービングは、前記第1の端部において前記剛性を有する部材の周りの2重らせんとして構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項12 前記共振防止減衰手段は、前記剛性を有する部材の中または周りを流動する液体冷却剤を備えている、請求項6に係る請求項9〜11のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項13 前記細長い陽極部材は、剛性を有しているとともに、前記標的面から熱を逃がすために、前記標的面の近傍へのおよび前記標的面の近傍からの液体冷却剤の流動のための内部通路を備えており、前記共振防止減衰手段は、前記剛性を有する部材の中または周りを流動する液体冷却剤を備えている、請求項6に記載のX線チューブ。 請求項14 前記細長い陽極部材は、剛性を有しているとともに、前記標的面から熱を逃がすために、前記標的面の近傍へのおよび前記標的面の近傍からの液体冷却剤の流動のための内部通路を備えており、前記標的面が前記衝突する電子に対して移動するように、前記陽極が前記液体冷却剤の経路により駆動される構成とされている、請求項1〜6または9〜11のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項15 前記ハウジング内に、前記細長い部材の前記第2の端部を移動するため電磁駆動力を前記第2の端部に伝達するための手段をさらに備え、前記力伝達手段は、前記細長い部材が前記第2の端部の近傍を通過する中央開口部を有する磁気材料のディスクであって、前記ハウジングの環状スロット内に保持された周縁領域を有するディスクを備えている、請求項1〜13のいずれか1項に記載のX線チューブ。 請求項16 請求項1〜13のいずれか1項に記載のX線チューブと、前記ハウジングの外部に配置され、前記標的面を前記衝突する電子に対して移動させるように前記陽極を駆動するための機械式アクチュエータとを備えている、X線チューブ。
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